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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(四)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 217,272 字 · 434 頁
大会は山の手の貸席か又は料理茶屋を会場として、会員一同が半季のあいだに蒐集した新奇の絵馬を持ち寄るのである。
ことしの大会は今月の五日、四谷見附そとの或る茶屋で催されたが、そのときに丸多の主人は大きい古い絵馬を持ち出して、同好の人々をおどろかした。それが彼の正雪の絵馬であった。この会に集まるほどの者は、いずれも多左衛門に劣らぬ数寄者であるから、勿論その絵馬を知っていた。そうして、丸多の主人がどうしてそれを手に入れたかを驚き怪しんで、みんな口々にその事情を訊きただしたが、得意満面の多左衛門は唯にやにやと笑っているばかりで、詳しい説明をあたえなかった。
そうなると一種の好奇心も手伝って、会員の幾人かはその後大宮八幡へ見とどけに行くと、かの絵馬は依然として懸かっているので、人々はまた不思議に思った。丸多は自分の物のように云っているが、実は神官になんとか頼んで、大会の当日だけひそかに借り出して来たのであろうと想像して、ある者は丸多の宅へ押し掛けて詰問すると、多左衛門は笑いながら彼の絵馬を出して見せたので、その人は又おどろかされた。同じ絵馬が世に二つと無い以上、その一つは偽物でなければならない。