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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(四)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(四)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 217,272 字 · 434 頁

青空文庫

「今までそんな噂を聞いたこともありませんが、このあいだの晩、自分から名乗ったそうで……。おれはここらに年経る狐だとか云ったそうで、それは確かに聞いた人が二人もあるのですから、まあ本当でしょう」

その二人は池田の次男喜平次と、岡崎屋という酒屋のせがれ伊太郎であると、嘉兵衛は説明した。

「だが、狐が人を斬り殺す筈はあるめえ、狐ならば喰い殺すだろう」と、亀吉はあざけるように云った。「世間にゃあいろいろの狐や狸がいるからな」

「まあ、余計なことを云うなよ」と、半七はたしなめるように云った。「そこで、爺さん、その池田の次男と岡崎屋の伜というのは、どんな男だか知らねえかえ」

それに就いて、嘉兵衛はこう答えた。池田の屋敷は小石川原町にあって、二百五十石の小普請組である。自分はその隣り屋敷へ出入りしているが、池田の屋敷は当主のほかに大勢の厄介があって、その内証はよほど逼迫しているらしい。次男の喜平次という人を一度も見たことは無いが、二十四五になるまで他家へ養子にも行かないで、実家の厄介になって剣術を修業しているという噂である。岡崎屋のせがれ伊太郎もやはり喜平次と同年配で、父の伊右衛門は五、六年前に世を去って、母のお国が残っている。