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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(四)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 217,272 字 · 434 頁
その妖怪がよほど特別の禍いをなさない限りは、いっさい不問に付しておくのが習いで、そのころの江戸市中には化け物が出ると云い伝えられている場所はたくさんあった。現に牛込矢来下の酒井の屋敷の横手には樅の大樹の並木があって、そこには種々の化け物が出る。化け物がみたければ矢来の樅並木へゆけと云われたくらいであるが、誰もそれを探索に行ったという話もきこえない。町奉行所でも人間の取締りはするが、化け物の取締りは自分たちの責任でないというのであろう、ただの一度も妖怪退治や妖怪探索に着手したことはないらしく、かれらの跋扈跳梁に任かしておいた形がある。したがって、今度の柳原一件に対しても、町奉行所では何ら取締りの方法を取ろうとはしなかったので、その噂は日ましに広がって行くばかりであった。
神田岩井町の山卯という材木屋の雇い人に喜平という若者があった。両国の野天講釈や祭文で聞きおぼえた宮本無三四や岩見重太郎や、それらの武勇譚が彼の若い血を燃やして、清水山の妖怪探索を思い立たせた。しかし自分ひとりではさすがに不安でもあるので、喜平は自分の店へ出入りの銀蔵という木挽の職人を味方にひき込もうとすると、銀蔵も年が若いので面白半分に同意した。