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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(四)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(四)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 217,272 字 · 434 頁

青空文庫

半七も会釈した。

「おめえはいいことを教えてくれたそうだ。まあ、何分たのむぜ」

「いっこうお役に立ちませんで……」と、権七は再び頭を下げた。「お此はさっきここを通りましたよ。江戸辺へ行ったのでしょう」

「そうか」

半七は少し失望した。お此はきょうも江戸辺へ仕事に行ったのかも知れない。さりとて、今更むなしく引っ返すわけにも行かないので、権七に別れて三人は浜川へむかった。

「お此が留守じゃあ困りましたね」と、熊蔵はあるきながら云った。

「まあ、いい。おれに考えがある」と、半七は答えた。「建具屋の伊之助というのは何処だ。案内してくれ」

「ようがす」

松吉は先に立ってゆくと、かの丸子の店から遠くないところに小さい建具屋が見いだされた。松吉の説明によると、親父の和助は中気のような工合でぶらぶらしているので、店の仕事は伜の伊之助と小僧ひとりが引き受けているというのである。勿論、貸家普請の建具ぐらいの仕事が精々と思われるような店付きであった。表から覗くと、伊之助は小僧を相手に、安物の格子戸を削っていた。松吉は声をかけた。

「おい、伊之。親分がおめえに用がある。三河町の半七親分だ。