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ちえのいちたろう

智恵の一太郎

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《智恵の一太郎(ちえのいちたろう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 67,333 字 · 134 頁

青空文庫

「太陽に照らされて、雪がとけたのでしょう。つもっている雪がうすくなったのでしょう」

「うん、そうだ。けさは十五センチもつもっていた雪が、今はかって見ると、十センチほどになっている。太陽がそれだけ雪をとかしたのだ。さあ、そこで君たちにたずねるがね、さっき僕がならべておいた白い紙と黒い紙の下の雪は、どうなっているだろう。両方とも同じようにとけているだろうか、それとも、どちらかの方がよけいにとけているだろうか。一つ考えてごらん。これは理科の問題だよ。よく考えてこたえてごらん」

二人はしばらく考えていましたが、最初に口をひらいたのは北川少年でした。

「僕、白い紙の下が、黒い紙の下よりも、よけいにとけていると思います」

「ほほう、白の方がよけいにとけて、雪が少くなっているというのだね。それはなぜだね」

「それはね、白い色はあたたかくて、黒い色はつめたいからです。つめたい黒い紙の下は、とけるのがおそいでしょう」

「うーん、なるほどね。それじゃ一太郎君はどう考える? 君も白い紙の下が、よけいにとけていると思うのかい」

「僕はそうじゃないと思います」

一太郎君はちょっと顔を赤らめて、答えました。