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ちえのいちたろう

智恵の一太郎

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《智恵の一太郎(ちえのいちたろう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 67,333 字 · 134 頁

青空文庫

うまい考がうかんで、それを言い出す時には、いつも顔が赤くなるのです。

「僕は黒い紙の下の方が、よけいにとけていると思います」

「なぜだね」

「黒い紙の下の方があたたかいからです」

「ほう、北川君とまるであべこべの考え方だね。それじゃ、なぜ黒の下があたたかいか、そのわけを言ってごらん」

「僕、いつかお父さんに教わったことを、ふと思い出したんです。南洋の住民はみな白い着物を着ていますね。インド人もそうですね。あつい国の人がなぜ白い着物を着るのか、僕、ふしぎに思ったものだから、お父さんにたずねたことがあるんです。

すると、お父さんは、同じ布でできていても、白い着物は涼しくて、黒い色の着物はあついのだと教えてくれました。ですから、あつい国の人は白い着物を着るし、寒い国の人は黒っぽい着物を着るんですって。水兵さんや、おまわりさんの服が、夏は白くて、冬は黒いのもそのためなんですって。

僕、その話を思い出したんです。だから、白い紙の下は涼しくて、黒い紙の下はあたたかいだろうと思ったのです。あたたかければ、雪はよけいにとけるわけですからね」

「うん、おもしろいことを考えついたね。