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さいしょうにんげんのかい
最小人間の怪
海野 十三
線上閱讀海野 十三《最小人間の怪(さいしょうにんげんのかい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 1,979 字 · 4 頁
この秘話をしてくれたN博士も、先々月この世を去った。今は、博士の許可を得ることなしに、ちょっぴり書き綴るわけだが、N博士の霊魂なるものがあらば、にがい顔をするかもしれない。
以下は、N博士の物語るところだ。
私は大正十五年十二月二十六日の昼間、霧島の山中において、前代未聞の妖怪に出会った。
当時私は、冬山における動物の生態研究をつづけていたのだ。
私はキャンプを張り、幾週間も山中で起き伏していた。あたりはかなり深い山懐で、木樵も見かけず、猟師にさえ会わなかった。私ひとりでこの深山を占有しているような気持がし、私の心は暢々としていた。
或る朝、起きてキャンプを出てみると、外は真白になっていた。降雪が夜のうちにあったのだ。そしてその日、妖怪に出会ったのである。
その妖怪は雪どけの水が落ちて、水溜を作っているそのそばにいた。はじめは蛙の子がうごめいているように思ったが、蛙の子にしてはすこし変なので、よく見ると、それはふしぎにも人間の形をしたものであった。が、人間ではない。背丈が二三センチに過ぎなかった。
私は胸がどきどきして来た。めずらしい発見を喜ぶと共に、うす気味がわるい。