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きそがわ
木曾川
北原 白秋
線上閱讀北原 白秋《木曾川(きそがわ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 25,659 字 · 52 頁
一
一
「ほら、あれがお城だよ」
私は振り返った。私の背後からは円い麦稈帽に金と黒とのリボンをひらひらさして、白茶の背広に濃い花色のネクタイを結んだ、やっと五歳と四ヶ月の幼年紳士がとても潔よく口をへの字に引き緊めて、しかもゆたりゆたりと歩いていた。地蔵眉の、眼が大きく、汗がじりじりとその両の頬に輝いている。
名鉄の電車を乗り捨てて、差しかかった白い白い大鉄橋――犬山橋――の鮮かな近代風景の裏のことである。
暑い、暑い。パナマ帽に黒の上衣は脱いで、抱えて、ワイシャツの片手には鶏の首のついたマホガニーの農民美術のステッキをついてゆく、その子の父の私であった。
「うん、そうか」
父と子とはその鉄橋の中ほどで立ちどまると、下手向きの白い欄干に寄り添って行った。隆太郎は一所懸命に爪立ち爪立ちした。頤が欄干の上に届かないのだ。
ちょうど八月四日の正午、しんしんと降る両岸の蝉時雨であった。
汪洋たる木曾川の水、雨後の、濁って凄まじく増水した日本ライン、噴き騰る乱雲の層は南から西へ、重畳して、何か底光のする、むしむしと紫に曇った奇怪な一脈の連峰をさえ現出している、その白金の覆輪がまた何よりも強く眼を射ったのである。