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むらからのむすめ

村からの娘

宮本 百合子

線上閱讀宮本 百合子《村からの娘(むらからのむすめ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 4,485 字 · 9 頁

青空文庫

新年号の『文学評論』という雑誌に、平林英子さんの「一つの典型」という小説がのっていて時節柄私にいろいろの感想をいだかせた。

民子というプロレタリア文学の仕事をしている主婦のところへ、或る日突然信州の山奥の革命的伝統をもった村の大井とし子という娘から手紙が来る。その手紙は「あなたがこちらへお出下さいましてよりもはや一年が過ぎました。農村は不景気の風に吹きまくられて、百姓はその日のパンにさえありつくことが出来ません。これから段々寒くなってゆくばかりでございます」というような書き出しで「ついては大変突然で申しかねますが私をあなたのお家の女中にでも使って下さるわけには参りませんでしょうか」というのであった。民子が自分の家庭の事情をも考え、はっきりした返事を出しかねているうちに、電報で明朝新宿へ着くから迎えに出てくれということになり、愈々上京したとし子が民子の家庭で、一とおりならぬ民子の気づかいを引起しつつ暮す次第が、すらすらと巧に描かれているのである。

山奥の世間知らずで、物心づくとから左翼的な考えかたでだけ育てられた十六の娘の一本気で、非実際的な気持や姿がガスのひねり工合一つにさえ神経を用いなければならぬ都会の家庭生活の細々した有様の描写を背景としてまざまざ書かれている。