輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
やなぎばしものがたり
柳橋物語
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《柳橋物語(やなぎばしものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 104,300 字 · 202 頁
浅草橋御門からこっちでは、瓦町と茅町二丁目の表通りから大川端まで九割がた町家が取払いになり、松平なにがしの下屋敷と書替役所が建つことに定った。そのため梶平の仕事場が一丁目へ割り込んだので、順送りに勘十の住居なども平右衛門町へ移らなければならなかった。
――大きな火事があると住む人たちの顔ぶれも違ってくる、俗に一夜乞食といって、家倉を張った大商人が根こそぎ焼かれて、田舎へ引込むとか他の町へ逼息するなどということも珍しくないし、貸家ずまいの者などは殆んどが移転してしまう、その土地でなければならない条件のある者は別として、同じ町内へ戻って来る者の数はごく少なかった。……仮にもし町のようすがそんなに変らなかったら、そしてもとの町内の人たちがいてくれたとしたら、もう少し早くおせんの記憶力がよびさまされ、自分の身のうえや過去のことを思いだしたであろうし、したがって後にくるような悲しい出来事はなかったに違いない。おせんのためには不幸な、だがどうしようもない偶然の悪条件は、こうして早くも彼女のまわりに根を張りだしたのであった。
二月にはいってから、おせんの頭はしだいにはっきりし始めた。