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そり

橇

黒島 伝治

線上閱讀黒島 伝治《橇(そり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,663 字 · 24 頁

青空文庫

晩に、どこかへ大隊長が出かけて行く、すると彼は、靴を磨き、軍服に刷毛をかけ、防寒具を揃えて、なおその上、僅か三厘ほどのびている髯をあたってやらなければならなかった。髯をあたれば、顔を洗う湯も汲んできなければならない。……

少佐殿はめかして出て行く。

ところが、おそく、――一時すぎに――帰ってきて、棒切れを折って投げつけるように不機嫌なことがあるのだ。吉原には訳が分らなかった。多分ふられたのだろう。

すると、あくる日も不機嫌なのだ。そして兵卒は、叱りつけられ、つい、要領が悪いと鞭うたれるのだ。

彼は考えたものだ。上官にそういう特権があるものか! 彼は真面目に、ペコペコ頭を下げ、靴を磨くことが、阿呆らしくなった。

少佐がどうして彼を従卒にしたか、それは、彼がスタイルのいい、好男子であったからであった。そのおかげで彼は打たれたことはなかった。しかし、彼は、なべて男が美しい女を好くように、上官が男前だけで従卒をきめ、何か玩弄物のように扱うのに反感を抱かずにはいられなかった。玩弄物になってたまるもんか!

「豚だって、鶏だってさ、徴発にやられるのは俺達じゃないか、おとすんだって、料理をするんだってさ……。