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そり
橇
黒島 伝治
線上閱讀黒島 伝治《橇(そり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,663 字 · 24 頁
それでうまいところはみんなえらい人にとられてしまうんだ。」彼は繰かえした。「俺達の役目はいったい何というんだ!」
「おい、そんなこた喋らずに帰ろうぜ。文句を云うたって仕様がないや。」安部が云った。「もうみんな武装しよるんだ。」
安部は暗い陰欝な顔をしていた。さきに中隊へ帰って準備をしよう。――彼はそうしたい心でいっぱいだった。しかし、ほかの者を放っておいて、一人だけ帰って行くのが悪いような気がして、立去りかねていた。
「また殺し合いか、――いやだね。」
傍で、木村は、小声に相手の浅田にささやいていた。二人は向いあって、腰掛に馬乗に腰かけていた。木村は、軽い元気のない咳をした。
「ロシアの兵隊は戦争する意志がないということだがな。」
浅田が云った。
「そうかね、それは好もしい。」
「しかし、戦争をするのは、兵卒の意志じゃないからな。」
「軍司令官はどこまでも戦争をするつもりなんだろうか。」
「内地からそれを望んできとるというこったよ。」
「いやだな。――わざわざ人を寒いところへよこして殺し合いをさせるなんて!」
木村は、ときどき話をきらして咳をした。痰がのどにたまってきて、それを咯き出さなければ、声が出ないことがあった。