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かっこんとう
橘外男ワンダーランド ユーモア小説篇
橘 外男
線上閱讀橘 外男《橘外男ワンダーランド ユーモア小説篇(かっこんとう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 16,213 字 · 34 頁
雷の鳴りそうな日は、社長は御欠勤になって、その安全地帯の自宅で、悠然と読書にシャレ込もうという寸法であった。ノコノコと中央気象台まで出かけて行って、一体東京近辺では、どこが雷が鳴らないでしょうね? と、尋ねたことがある。途方もないバカなことを、聞きに来た男を迷惑がりもせずに、若い二人の技手が、――今なら技官というところであろうが、親切に応待してくれた。
なるほど、気象台には、こういう調べがついているんだなと、感心したことであったが、長さ二尺、幅一尺ぐらいの、大きな図表を十五、六枚も持ち出して来、私のために調べてくれた。それには一枚一枚に日本地図が印刷されてあって、その上に波のように青い線が、ビッシリと一杯に彩られてある。一月に三十回以上雷の鳴るところ、十回以上鳴るところ、五回以上鳴るところといった風に、細かな統計が取ってあった。
「比較的、雷の鳴らないところというお望みなら、海岸へ住むんですな。東京近辺では、逗子、葉山。千葉県では内房地方、……その辺が、月五回の部分に当りますから、一番雷が尠いわけですね。絶対鳴らないところ? そんなところは、日本中探したって、ありゃしませんよ。