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かっこんとう

橘外男ワンダーランド ユーモア小説篇

橘 外男

線上閱讀橘 外男《橘外男ワンダーランド ユーモア小説篇(かっこんとう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 16,213 字 · 34 頁

青空文庫

樺太には、一カ所そういうところもありますが、その代りそこは、冬雪の降ってる最中に、鳴りますよ。まさか樺太から、東京へ通勤もできんでしょう?」

と、その若い技官は件の図表を調べてくれながら、私を冷やかした。

房州よりは、湘南という方が、何か聞こえが明るいから両方同じくらいの程度に雷の尠いところなら、ようし逗子へ家を建てようと、私は考えた。そして家を建てるなら、まずその土地になじんでおかぬといけんから、今年の夏は家中で逗子へ避暑だと私は、勇み立った。妻と女中に二人の子供、私を入れて総勢五人、桜山の葉山へ抜けるトンネル入り口近くの農家の二階二間を、一夏借りたのであったが、何が月に五回のところも、海岸地方もクソもあるものか!

鳴ったにも、鳴ったにも! 行った晩から東京と変りなく、鳴り轟いた。中央気象台のクソ野郎! 人にウソを吐きやがって! と私は、頭から湯煙りを立てた。

そして挙句の果てに、気絶せんばかりに、大鳴りに鳴り轟いたのは、昭和何年だったか、もう今では年も忘れてしまったが、あんまり恐ろしかったから、月と日だけは今でも忘れることができぬ。七月三十一日の、晩であった。