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ウニデスちょうりゅうのかなた
橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇
橘 外男
線上閱讀橘 外男《橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇(ウニデスちょうりゅうのかなた)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 247,361 字 · 483 頁
緑滴る眼も遥かな芝生の彼方此方には鬱蒼たる菩提樹がクッキリした群青の空を限って、その樹陰を透かして広やかな泉水の彼方には高塔高く雲を突いた五階建ての燦然たる白大理石の宮殿が糸杉の並木に囲まれて聳え立っていた。そして左手遠くなだらかな丘の麓に殷賑な市街を見下ろした雄大な景色は莫迦にしていた私の想像を根柢から裏切って、思わず眼を瞠らしめたのであった。
カ氏は写真のあちらこちらを指して、この辺に太子殿下の設けられた蚕業試験場があり、この辺に太子殿下の作られた無料図書館があり、丘の麓にある細菌研究所ではいつぞや私の方から納めた機械の二台が組み立てられて今頃は調帯がかかって唸りを立てている頃であろうと教えてくれた。大体がこのカ氏という人は非常に自分の王室を崇敬して二口挙句には「国王陛下」とか「太子殿下」だとか土侯をまるで一国の元首扱いにしているような言葉を使うのであったが、私にはそれがどうも滑稽で今まではカ氏の口から、国王陛下、太子殿下が出てくると、眼の前に坐っている黒い氏の顔から想像して、たちまち跣足で鉄砲を担いだエチオピアの兵隊サンを連想せざるを得ないのであった。