輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
線上閱讀下村 湖人《次郎物語(じろうものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 117,781 字 · 235 頁
彼は伏せていた眼をあげて先生を見た。
「卑怯というのは、言葉をかえて言うと、自信が足りない、ということだ。一滴の水にも一粒の砂を洗い落す力はあるんだから、それを信ずる人間なら、悪魔の足がどんなに汚れていようと、あとへは引かないはずだ。砂一粒でも落せば、それだけ悪魔の足がきれいになるはずだからね。」
次郎の頭には、その時、ふと、昨日天満宮のまえで人間の弱さということについて考え、何か眼に見えないものにへり下りたい気持になったことを思いおこした。そして、その気持と、今先生が言った自信という言葉との間に、何かそぐわないものを感じたが、それをどう言いあらわしていいかわからないままに、先生の言うことに耳を傾けていた。
「とにかく人間は絶望するのが一番悪い。料理屋のお内儀に相手にされなかったぐらいのことで、幻滅を感じるなんて、もってのほかだ。」
朝倉先生の言葉は、これまでになく烈しかった。が、すぐ、もとの静かな調子にかえって、
「もっとも、君ぐらいの年頃では、真面目であればあるほど、そんな気持になりたがるものだ。私にも、そんな経験がある。だが、そこを切りぬけるのが、ほんとうの真面目さなんだよ。