輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
線上閱讀下村 湖人《次郎物語(じろうものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 159,223 字 · 320 頁
「おれにも一つくれ。」
と、その長い手を次郎の方に突き出したのである。
次郎は、お鶴と顔を見合わせて、しばらく返事をしなかった。鉢には、まだ握飯が二つ残っていた。しかし、その一つは次郎にとって、他の一つはお鶴にとって、どうしてもなくてはならないものだったのである。
「おい、早くよこさんか。」
喜太郎は、泳ぐように窓から体を乗り入れて言った。
次郎と、お鶴は、思わず喜太郎の方に尻を向けて、握飯をかばうようにした。
「畜生、覚えていろ。」
喜太郎は、そう言って、地べたに飛び下りたが、すぐその手で土塊をつかむと、それを部屋の中になげこんだ。土塊は天井にあたってばらはらに砕けた、そしてむざんにも握飯の表面をまだらにした。
次郎の眼は異様に光った。彼はやにわに立ちあがって、窓から飛び下りると、うしろから喜太郎の腰のあたりに武者ぶりついた。
しかし、腕力では、彼は喜太郎の相手ではなかった。次の瞬間には、彼は仰向けに地べたに倒されていた。しかも、彼の胸の上には、喜太郎の大きな膝頭が、丸太のようにのっかっており、両手は、地べたに食い入るように、おさえつけられていた。