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さつじんめいろ

殺人迷路

佐左木 俊郎

線上閱讀佐左木 俊郎《殺人迷路(さつじんめいろ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 3,774 字 · 8 頁

青空文庫

洋装の女

どこで何をしていたのか、新聞記者の村井は、星田代二が検事の第一回訊問を受けた日、彼が警視庁へかえされたのと入れちがいに、検事局の構内に姿を現わした。しかも、彼は、今日がはじめての訪問ではないらしく、わき眼もふらず、真直ぐに、二木検事の調室に歩いて行って、特長のあるドアの叩き方をした。

書記がドアを開いた。

「どうだった、君?」

勝ち誇ったように、村井は微笑した。

「うむ」

と、村井を握手で迎えながら、二木検事の理智的な額を、憂鬱の影が掠めた。

「全く驚いたよ。山川牧太郎が星田代二だとは。七年来お尋ね者の、五万円籠抜詐欺犯人が、大きな面をして、この帝都の真中にのさばっていようとは、誰だって考え及ばないからね」

「そこが彼奴のつけ目だよ。隠すには曝せ、というのは、探偵小説の第一課だからね。新聞社や雑誌社に、やたらに写真を撮らせるところなんか、大胆と云おうか、天才と云おうか、驚嘆に値するね」

「山川牧太郎時代の写真が一枚もないもんだから、ずらかる前に、野郎、入念に処分しちまってたもんだから――当局もあざやかに翻弄されてた形だよ」

二木検事は、今星田代二の面皮を剥ぐことが出来たとは云え、彼はみじめな気持を味わわずにはいられないのだった。