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ひかくかがくろん

比較科学論

中谷 宇吉郎

線上閱讀中谷 宇吉郎《比較科学論(ひかくかがくろん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 9,520 字 · 19 頁

青空文庫

ウィルソンは、この装置を順次改良していって、いろいろな放射線について、その粒子の飛跡を調べ、この方面で新しい分野を拓いたのである。

原子爆弾の製造や原子力の解放で、今日その基礎になっているのは、ウラニウム核分裂の現象である。原子及び原子核の研究は、今世紀の初め頃から、現代の物理学の主流になっていたが、原子力を実際に勢力源として使い得る見込が立ったのは、一九三八年に、ハーンとストラスマンとが、ウラニウムの核分裂を発見した時に始まる。

この核分裂の現象は、そのときまで、誰も夢想だにしていなかったことである。従って、ハーンたちも、それを目指して実験したわけではない。ウラニウムの原子核に中性子を衝突させて、ウラニウムよりももっと重い原子をつくろうと試みていたのである。ところが、実験の結果はその逆であって、ウラニウムの原子核は、もっと軽い原子核二つに分裂することが分ったのである。これなども偶然がもたらした大発見といってよいであろう。

偶然が大きい原因をなしている場合は、その研究にはアマゾン型の要素が強くはいっている。しかし以上に挙げたような例では、偶然に発見された糸口をたどるには、原子論の理論が、大いに必要である。