輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

すいちゅうのきゅうでん

水中の宮殿

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《水中の宮殿(すいちゅうのきゅうでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 26,533 字 · 52 頁

青空文庫

生か死か――水を潜る三人

「そんなことは出来ないワ」

燿子は驚いて兄の首っ玉にブラ下ります、ここまでたどり着いた艱難をもう一度くり返すのも大変ですが、それよりも、引返したところで、他に抜道がありそうもなかったのです。

「でも、このままは進めないぜ」

健一ほどの者も、隧道一杯に奔騰する水は、どうすることも出来ません。

「あれは何でしょう? ――水の中にほんの少し薄明が射しているんじゃないでしょうか」

綾子は健一の腕を引張って、今まで進んでいた行手の方の水を見せました。

「おかしいね」

水肌へすれすれに眼を持って行くと、行手の水の中に、薄青い光が、ほんの少しですが、ボーッと射しているのです。

「今晩は月があったかしら」

燿子はいきなり変なことを訊きます。

「満月は三日ばかり前だったから、今頃は月の出る頃かも知れないなア」と健一。

「それじゃ、きっと月の光よ、――ここは隧道の出口なんだわ、今まで知らずにいたけれど、――月が出て水に射したんで、あんなに薄明るくなったんじゃないかしら」

燿子は漸く素晴しい頭脳を働かせ始めました。

生か死か――水を潜る三人

「僕が行って見て来ようか」

健一はもう潜る仕度を始めました。