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えどのかじゅつ

江戸の火術

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《江戸の火術(えどのかじゅつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 17,929 字 · 36 頁

青空文庫

謀反の下心

「井上」

「――――」

喜三郎は改まった物の言いようです。

「試し撃の前に言うことがある、命を賭けての話だ、聴いてくれるか」

「――――」

謀反の下心

「他ではない、――今から五年前、お互の父親同士が、砲術のことから、争いが嵩じて、其場で斬り死にした。武士として心得違いではあったに相違ないが、原をただせば、大筒役としての役目の大事を考えお互の工夫を土台の言い争いで、深くとがむべき筋合のものではない」

喜三郎は変な事を言い出しました。

「――――」

「然るに、公儀の御とがめは峻烈を極め、井上稲富両家は断絶、士籍を削って追放――我等はその家を興し度さに、こんな山の中にまで入って、人外の暮しをする有様――」

喜三郎の声には涙があります。

「――――」

「非道ではないか井上」

「――――」

「豊家を亡ぼし、無辜の民を殺し、加藤、福島、その他の大小名を取潰した、徳川家の横暴無道、眼に余ることばかり」

「――――」

「俺はつくづく徳川家の粟を喰む気は無くなった。砲術で帰参などは以ての外、――それどころか、一と思いにこの大筒で、徳川幕府を撃ち砕く気になったよ」

「稲富」

あまりの事に、井上半十郎言葉も続きません。