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けっせんかわなかじま うえすぎけんしんのまき
決戦川中島 上杉謙信の巻
線上閱讀坂口 安吾《決戦川中島 上杉謙信の巻(けっせんかわなかじま うえすぎけんしんのまき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 9,278 字 · 19 頁
すでに我から間諜をだす必要はない。敵の策戦は山伝いに余の背後をつくか、前面に兵をくりだすか、いずれかしかない。我が軍は敵に先だち川中島の真ッただ中に総勢をくりだすのだ。敵の間諜すべてを斬り伏せて帰すことがなければ、我が必勝は明かだ」余の命令一下、日没と共に余の軍は行動を起した。
余は善光寺の五千の兵に連絡しなかった。途中に敵が間者を伏せていることは明かだからだ。あるいはすでに敵の間者は善光寺界隈をくまなく封鎖していよう。もしも善光寺の我が軍が動きだせば、敵は我が策戦をさとるのだ。余ら八千は五千の援兵を放棄することによって、敵のノドにアイクチを擬することができるのである。
余の当夜の陣形を車がかりの陣と云うが、別にそれほどの特定の名称を必要とするほどのものではない。
余の軍兵は余の本陣を中心として、ほぼ円形に陣を構える必要があった。なぜなら、敵がどの地点に陣をかまえるか分らないからだ。地点不明の敵陣に備えを立てて夜明けを待つには余の本陣を心棒に円形の陣が必要だっただけである。
余の軍兵は敵に先立って川中島に陣立てすることに成功した。敵の陣が五間前方に迫っていても素知らぬ顔、音を殺して夜明けを待てばよかったのである。