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せんこうてい「ハビヒツブルグ」

潜航艇「鷹の城」

小栗 虫太郎

線上閱讀小栗 虫太郎《潜航艇「鷹の城」(せんこうてい「ハビヒツブルグ」)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 132,395 字 · 263 頁

青空文庫

とうの昔、失われた眼を、皮膚の上に取り戻していますよ」

と周囲を嘲るように云い放ったとき、検事はその言葉の魅力に、思わずも引き入れられてしまった。

「というのは、いったい何処からなんです?」

「それが、貯蔵庫の方角からでした」

としばらく指を左右に動かしていたが、ヴィデはやがてムッツリと答えた。

が、その貯蔵庫というのは、事件のおり夫人がいた発射管室の壁際にあるもので、ヴィデはかくも傲然として、犯人にウルリーケを指摘したのであった。

一座はその瞬間、白けたような沈黙に落ちたが、やがて法水の問いに、石割苗太郎が答えはじめた。

「艇長の屍体を発見したのが、ちょうど夜半の二時でしたが、それから四人は、艙蓋の下で眠るともなく横になっておりました。すると、そのうちに、士官室から前部発射管室の方へ行く、異様な跫音が聴えてきたのです。それは、片手を壁に突きながら、一本の足で歩いているようで……」

と云いかけたときに、一同は冷たい鉄に触れたような思いがした。

なぜなら、その跫音は、明白にシュテッヘであって、失踪当時彼は右足を挫いていたからである。

石割もそう云いながら、わなわな顫えだして、彼は法水の声する方に、両手で卓子を捜りながら、躄り寄って行くのだった。