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せんこうてい「ハビヒツブルグ」
潜航艇「鷹の城」
小栗 虫太郎
線上閱讀小栗 虫太郎《潜航艇「鷹の城」(せんこうてい「ハビヒツブルグ」)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 132,395 字 · 263 頁
まさに作者も、ワグナーに、模倣追随をあえてしてまで、この一篇を編みあげようとするのだ。
しかし、これには、権力を代表する指環もなければ、法と虚喝の大神も、愛のジーグフリードも、また、英雄の霊を戦場からはこぶ戦女もいない。事実この物語には、われわれの知らぬ、世界に活躍するものは一つとしてないのである。
けれども、篇中のどこかには、奇怪な矮人があらわれる、鳥がいる。鍛冶の音楽、呪い、運命、憎悪、魔法の兜がある。時とすると、森の囁きが奏でられ、また、「怖れを知らぬジーグフリード」の導調につれて、うつくしい勇士の面影が、緑の野におどる陽のようにあらわされる。
しかしそれは、篇中に微妙な影を投げ、いとも不思議な変容となって描かれているのだ。手操りあう運命の糸――それは、いつの世にも同じきものである。ときに応じ、情勢につれて、自由に変形され展開されるとはいえ、絶えず、底をゆく無音の旋律はおなじである。
読者諸君も、つぎの概説中にある黒字の個所に御留意くだされば、けっして、古典の香気に酔いしれてしまうことはないであろう。かえって、物語を綴り縫う謎の一つ一つに、一脈の冷視をそそぐことができると信ずるのである。