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はいいろのきおく

灰色の記憶

久坂 葉子

線上閱讀久坂 葉子《灰色の記憶(はいいろのきおく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 65,588 字 · 132 頁

青空文庫

母は、私と姉の部屋に、きれいな飾り戸棚のついた箪笥を二つ並べてくれた。洋間の方には、椅子と机と本箱を新調してくれた。そして壁紙の撰択や、カーテンの布地は子供の好みにしてくれた。私は、うすねずみ色の地模様のかべ紙に、ピンクのカーテンをしたいと望んだ。姉はクリーム色に緑のカーテンをかけたいと云い張った。結局、壁はクリームになり、カーテンはピンクになり、デンキスタンドのシェードに、姉はみどり、私はうすねずみ色に花のとんだのを母は与えてくれた。急に何だか一人前になったような気がして、その当座はいくらか勉強に精出したようであった。しかし、算術の出来のわるさは、ずっとつづいて、それが、数学と呼びかえられるようになって、もっとひどくなったのである。

改築の御祝いに、お友達を呼ぶことになった。その頃、東京から転校して来たアイノコが組にいたが、私は彼女がとても好きになり――というのは、私の悪事を知らないという安心感があったのであろうか――たった一人彼女を家へ招いた。歯ぎれのよい江戸っ子で、派手なアメリカ風の気のきいた洋服をきており、顔立は西洋人形みたいだったから、母はこの娘が大へん気に入った。