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はいいろのきおく

灰色の記憶

久坂 葉子

線上閱讀久坂 葉子《灰色の記憶(はいいろのきおく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 65,588 字 · 132 頁

青空文庫

そうして涙をのんでふたたびちょんぎってしまった。

彼女は私をかわいがってくれた。言葉の影響か、私より年上に感じられた。彼女は、カトリックの信者であり、首からクルスを吊っていた。私は何故か、それだけは真似したいとは思わなかった。私の家が仏教であり、しかし仏壇はなく、――何故なら、本家に位牌が安置されておりそこで毎月法要がいとなまれていた――そのかわり、母が金光教信者であったから、二階の北の間は神様の部屋と呼ばれ、祭壇があった。そして、小さい時から、私達子供は神様のおかげで生きているとされ、毎朝毎夕、柏手をうっていた。で、カトリックというものがどんなものだか知らず、きっと幼稚園の時のように、長いお祈りがあるものと、はじめっから嫌悪していた。彼女はたびたび教会へ行くことを勧誘した。きれいなカードがもらえるとか、マザーがお菓子をくれるとか。けれど私は好きな彼女の云うことのうち、これだけは承知しなかった。アリーのおかげと例の悪事露見の影響か――悪事という言葉に私はいささかの反駁がないのではないけれど、衆目の認めるところそれはやはり悪事にちがいないのだ――私は大人しい子になった。