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かわ
牛をつないだ椿の木
線上閱讀新美 南吉《牛をつないだ椿の木(かわ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 75,647 字 · 155 頁
いちはやく気づいたものがもうふたり、ばらばらとそちらへ走っていくので、春吉君も画板をおいてかけつけると、土手の下に、水を通ずるため設けてある細い土管の中へ、竹ぎれをつっこんでいる先生が、落ちかかって鼻の先にとまっている眼鏡ごしに春吉君を見て、
「おい、ぼけんと見とるじゃねえ、あっちいまわれ。こん中にいたちがはいっとるだぞ。今こっちからつっつくから、むこうで、屁えこき虫といっしょにかまえとって、つかめ。にがすじゃねえぞ」
と、つばをとばしながらおっしゃった。
むこう側へこしてみると、なるほど、屁えこき虫の石太郎が、このときばかりはじつにしんけんな顔つきで、そこのどろみぞの中にひざこぶしまではいって、土管の中へ、右手をうでのつけねまでさし入れている。うでをすっかり土管の中につっこんでいるので、しぜん頭が横むけに土手の草におしつけられ、なにか、土手の中のかすかな物音に、耳をすまして聞いているといった風情である。
じき近くにあるあひる小屋にいる二わのあひるが、人のけはいでひもじさを思い出したのか、があがあとやかましく鳴きだした。
春吉君は、どろみぞの中へとびこんでいく気にはなれなかったし、石太郎が土管のあなを受け持っているからには、よけいな手だしはしないほうがいいので、ほかのものといっしょに見ていた。