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かわ
牛をつないだ椿の木
線上閱讀新美 南吉《牛をつないだ椿の木(かわ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 75,647 字 · 155 頁
といって、べつだん失望したわけでもない。けっきょく、親しみをおぼえて、それがよかったのだ。
藤井先生は、石太郎ととらえたあのいたちを、へびつかみの甚太郎に、二円三十銭で売った。その金で、小使いのおじさんと一ぱいやったという話を、二、三日して春吉君は、みんなからただおもしろく聞いた。先生はまだ独身で、小使室のとなりの宿直室で寝起きしていられたのである。
教室でも先生が変化したことは、同じことだった。坂市君や、源五兵衛君や、照次郎君などが、知らない文字をうのみにして読本を読んでいっても、最初のころのように、え、え、と、優美にとがめるようなことはされなくなった。年よりの、ぜんそくもちの石黒先生と同じように、知らんふりしてズボンのポケットに両手をつっこんで、つくえのあいだを散歩していられるのであった。
こういうぐあいに、すべての点で藤井先生はいなかの気ふうにならされ、のみならず、いなかふうをマスターするようにさえなったのだが、石太郎の、授業中にときどき音もなくはなつ屁にだけは、あくまで妥協できなかったのである。
情景はおおよそ、次第がきまっていた。まず最初にそれを発見するのは、石太郎の前にいる学科のきらいな、さわぐことのすきな、顔ががまににている古手屋の遠助である。