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かわ
牛をつないだ椿の木
線上閱讀新美 南吉《牛をつないだ椿の木(かわ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 75,647 字 · 155 頁
とうとうお昼近くになりました。青木少佐ははらもへり、のどがかわいてきました。とてもじれったくなって、大声で、オーイ、オーイと、いくどもどなってみました。しかし、じぶんの声がかべにひびくだけで、だれもへんじをしてくれるものはありません。
少佐は、しかたなく、むだだとは知りながら、なんどもなんども、井戸の口からさがったつる草のはしにとびつこうとしました。やがて、「あああ」と、つかれはてて、べったりと井戸のそこにすわりこんでしまいました。
そのうちに、とうとう日がくれて、寒いよいやみがせまってきました。ゆうべの小さな星が、おなじところでさびしく光っています。
「おれは、このまま死んでしまうかもしれないぞ」
と、少佐は、ふと、こんなことを考えました。
「じぶんは、いまさら死をおそれはしない。しかし、戦争に加わっていながら、こんな古井戸の中でのたれ死にをするのは、いかにもいまいましい。死ぬなら、敵のたまにあたって、はなばなしく死にたいなあ」
と、こうも思いました。
まもなく少佐は、つかれと空腹のために、ねむりにおちいりました。それは、ねむりといえばねむりでしたが、ほとんど気絶したもおなじようなものでした。