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かわ

牛をつないだ椿の木

新美 南吉

線上閱讀新美 南吉《牛をつないだ椿の木(かわ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 75,647 字 · 155 頁

青空文庫

久助君はしばらくのぞいていると、なまぐさいいやなにおいが鼻につきはじめた。そればかりか、この池全体が、なにか、子どもによそよそしい感じをもっていることがわかったので、じきそばをはなれてしまった。

久助君は、招かれてふじの花のさいている縁側の方へいった。縁側とざしきはあかり障子でへだてられていたが、太郎左衛門が中から出てきたとき、あけっぱなしておいたところから、久助君は中をのぞくことができた。

久助君はそこに、ひとりの黄色いしごきをした少女を見た。きっと、太郎左衛門のねえさんであろう。顔色が茶わんのように白くて、やせていた。彼女は、座敷のもうひとつおくの暗いへやから、金魚ばちほどのほやのついたランプをかた手で持ち、もう一方の手でふすまをなでながらあらわれ、座敷のすみにおいてあるつくえをさぐりあてると、その上にランプをすえた。目を大きく見ひらいているのに、手さぐりでそんなことをしているところをみると、あきめくらなのだろう。なんにしても異様な光景である。久助君は、いきをのんで見つめていた。

つぎに少女は、マッチをすってランプに火を入れた。そしてつくえの前にすわると、だれもいないのに、つくえのむこう側にだれかいでもするように、