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まきのとみたろうじじょでん
牧野富太郎自叙伝
牧野 富太郎
線上閱讀牧野 富太郎《牧野富太郎自叙伝(まきのとみたろうじじょでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 94,045 字 · 185 頁
明治二十三年五月十一日、ハルゼミは最早ほとんど鳴き尽くして、どこを見ても青葉若葉の五月十一日、私はヤナギの実の標本を採ろうとして一人で東京を東にへだたる三里ばかりの、元の南葛飾郡小岩村伊予田におもむいた。江戸川の土堤内の田の中に、一つの用水池があって、その周囲にヤナギの類が茂って小池を掩うていた……。
と私の採集記には、その頃のことをこんな風に書き出している。
その江戸川の土堤内の用水池の周囲にヤナギが茂っているので、その実を手折ろうとした刹那、ふと水面を見ると異形なものが浮んでいるので、早速とりあげて見たが、全く見慣れぬ水草なので驚いて大学へ持帰り、皆に見せると、皆も非常に驚いたが、矢田部教授は書物の中に思い当たるものがあるといい、その学名を探してくれたが、これは当時僅かに欧洲と印度と濠洲の一部とにのみ産するといわれたムジナモであった。後に黒竜江の一部、朝鮮、満洲にも発見されるようになったが、当時この発見は正に青天の霹靂の感があったものだ。
これと前後して私は、ヒシモドキという隣邦支那にのみ産するといわれていた植物を発見し、三十五年には伊勢の本郷というところで、寺岡、今井、植松の三氏の採集した新種を研究したところ、本邦ではじめて発見されたものであったのでこれに学名を下し、ホンゴウソウなる和名を附した