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きょうさいかていえんまんじゅつ

猿々合戦

小野 佐世男

線上閱讀小野 佐世男《猿々合戦(きょうさいかていえんまんじゅつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 29,526 字 · 61 頁

青空文庫

「わたしはじめて女剣戟みたんだけれど、すっかり気分がよくなって、まるで上等のソーダ水をのんだように胸がスウートしたわ」

「何にさ、その腕をまくってふり廻すのは」

「そばへよっちゃあぶないわよ、わたしの腕も弁天お蝶のようにムズムズ鳴りだしているのだから」

「はずかしいなアー、案内嬢が笑っているよ」

「へいちゃらよ、文句があるならやっつけちまうから、サアーコーなったらわたしは女剣戟フアンだから、ソレッ、楽屋へ行って筑波澄子さんに面会……急げッ!」

4

奥の細道のような楽屋廊下を通って、段々ばしごを中二階へ、水色の筑波澄子嬢へとすっきり染出されたのれんをくぐると、さっき斬られた児分のしゅうが、

「サアー、どうぞ御遠慮なく、ズーウト奥の方へ」

かつらをとる人、衣裳をぬぐ人、鏡で顔を落す人、刀のめききをなおす人、色とりどり、まるで天然色映画をぶちまけたような色模様。

「アー痛い……そー強くふくなよ」

頬を脱脂綿と薬でふいてもらっている一人の児分、

「失礼ですがニキビでもおつぶしになったのですか」

心配性のラキ子さんがまゆをひそめると、

「いや、いまの芝居でサッと頬をやられまして、どうも私はそそっかしくていけませんよ。