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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
線上閱讀宮本 百合子《獄中への手紙(ごくちゅうへのてがみ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 頁
今私が何かにふれて、一昨年あたりフーフー云ってよんだものの助けを得ているように、きっとこれも二年ぐらい経ったら効力があらわれるのでしょう。実力なんてそんなものね。
実力と云えば、四月の『図書』に、西田哲学の紹介をかいていた人があったでしょう? およみになりましたろう? 私はこの西田という人のベルグソンと東洋とをこね合わせた考えかたがふわけしてみたくて、誰かすっきりとやる人はないかと思っているが、哲学畑は一寸皆呪文にしばられている形で、面白いと思います。つまり日本哲学と称するものの、出来具合がほぐされたところが見たい。私の内在的なものはいろいろ嗅ぎつけて居るのですけれど。ああいう頭を小説の中の人間として扱いきれたらそれも面白いでしょうね。漱石が、先生という人物その他を扱い、あれは作者との関係では単純で、肯定のタイプですが、そう単純でなくね。現実反射の形としてね。阿部知二も知性というなら、せめてその位のり出せばよいのに。哲学の領域で不可能なら、小説の領域で、と云い切れたら愉快でしょうね。あの哲学の「無」なんて、随分国産のモチ(竿につける)よ。横へおしてゆくと出るところは、谷崎、永井あたりです。