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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

線上閱讀宮本 百合子《獄中への手紙(ごくちゅうへのてがみ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 頁

青空文庫

この間原智恵子のピアノをききました。久しぶりに日本へかえって来ての演奏でしたが、余りひどくなっているのでびっくりしました。もとは、そのいろんな外向的な素質が、近代的な扮装につつまれていて、謂わば理性的、つめたい情熱とでもいうような型に装われていたものが、この間は、シューマンのコンチェルトを弾いたのだけれど、すっかり崩れて、何にも作品の精神をつかもうとしていないで、一つの要領、大衆作家のきかせどころのようなもので弾いていて、井上園子とは、もうどこかで決定的にちがってしまったことを感じました。映画界の人と結婚して、フランスへ行って、かえって来て、その二三年の間に、低いすれからした雰囲気の女王気取りで暮していることが、服装から、身ごなしから、音楽に溢れて表われていました。例によって、有島生馬が、老いたる瀟洒さで出現してきいていたが、彼はあれを何と判断したでしょう。下手とちがうのよ。いやな気がするのよ。そして、女だということは一層ものを哀れにして、ごく胸を低くカットしたイヴニングで、十九世紀の悪趣味よろしく胸の二つのもりあがりをのぞかせたりして。そして、あんなひどくひくの。