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げんだいにほんのしそうたいりつ

現代日本の思想対立

戸坂 潤

線上閱讀戸坂 潤《現代日本の思想対立(げんだいにほんのしそうたいりつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 125,540 字 · 245 頁

青空文庫

かつて後藤内相の当時、官吏道場なるものの提案を聞いたことがある。提案だけではない。どこかの禅宗の寺で、大学出の少壮判任官を集めて坐禅をくませたり精神修養の説法を聞かせたりしたものだ。云うまでもなく之は二・二六事件以前であったから(尤も満州事変や五・一五事件以後ではあったが)、まだ吏道というものの本当の必要が自覚されず、吏道というものの認識がごく不充分な時代だったから、之は吏道を何か官吏の精神修養のことででもあるようにしか考えていなかったわけである。吏道が官吏のただの心構えや何かと誤解されていたため、役所を離れた禅寺などが、官吏道場などに選ばれたわけだ。新しい吏道の道場は、恐らく官衙そのものでなければなるまいに。

でこのように、吏道なるものを精神的に、子曰く式に、公案式に、説法する限り、吏道は遂に捕捉し得ない。内務官吏は所謂官吏の代表者であるという通念から、吏道振粛を買って出たのが内務省だったが、その内務省的な吏道説は遂にこのような形而上的呪文に終っている。内務省では官吏個人の心掛けから、その「気魄」や「熱意」から、吏道を説明しようとするから、一向埒があかなかったのだ。