輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

ちじんのあい

痴人の愛

谷崎 潤一郎

線上閱讀谷崎 潤一郎《痴人の愛(ちじんのあい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 179,399 字 · 353 頁

青空文庫

気がしたことがありました。

そう云う折の彼女の服装は、多分姉さんのお譲りらしい古ぼけた銘仙の衣類を着て、めりんす友禅の帯をしめて、髪も日本風の桃割れに結い、うすくお白粉を塗っていました。そしていつでも、継ぎはあたっていましたけれど、小さな足にピッチリと篏まった、恰好のいい白足袋を穿いていました。どういう訳で休みの日だけ日本髪にするのかと聞いて見ても「内でそうしろと云うもんだから」と、彼女は相変らず委しい説明はしませんでした。

「今夜はおそくなったから、家の前まで送って上げよう」

私は再々、そう云ったこともありましたが、

「いいわ、直き近所だから独りで帰れるわ」

と云って、花屋敷の角まで来ると、きっとナオミは「左様なら」と云い捨てながら、千束町の横丁の方へバタバタ駆け込んでしまうのでした。

そうです、―――あの頃のことを余りくどくど記す必要はありませんが、一度私は、やや打ち解けて、彼女とゆっくり話をした折がありましたっけ。

それは何でもしとしとと春雨の降る、生暖い四月の末の宵だったでしょう。ちょうどその晩はカフエエが暇で、大そう静かだったので、私は長いことテーブルに構えて、ちびちび酒を飲んでいました。