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はくとうのうた
白塔の歌
豊島 与志雄
線上閱讀豊島 与志雄《白塔の歌(はくとうのうた)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 21,450 字 · 43 頁
汪紹生は殆んど日曜毎にやって来ましたし、其の他の青年達が、時には女性も交えて、集ってきました。そしてそれらの人々に、柳秋雲も立交るようになり、遂には仲間の一人と数えられるようになりました。
柳秋雲は新新文芸を愛読しながら、自分では一度も文章を書いたことがありませんでした。また、その思想的な論議に加わることもありませんでした。然し彼女の控え目な言葉は、いつも強い熱情の裏付けがあり、そして形象的でありましたので、この一派に不足がちな感覚的要素を加える働きをしました。彼女の言葉から示唆されたと覚しい文章も、幾つか拾い出すことが出来ました。例えば、散るためにのみ美しい蓮の花を讃美する者は誰ぞ、伸びそして拡がるために美しい蓮の巻葉の香を知る者は誰ぞ、という質問が提出されていました。槐の並木の白い小さな花が、はらはらと街路にまきちらす感傷主義を、土足で踏みにじり得る者は果して誰ぞ、という質問もありました。黄塵にまみれた古い洋車に、磨きすまされたランプがつけられている象徴を、理解する者は果して誰ぞ、という質問もありました。
それらのことに最も敏感だったのは、汪紹生でありました。