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はくとうのうた
白塔の歌
豊島 与志雄
線上閱讀豊島 与志雄《白塔の歌(はくとうのうた)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 21,450 字 · 43 頁
また、彼女が荘家を去って陳慧君の許に戻ってゆくことについて、大きな損失を内心に最も感じたのも、汪紹生でありました。彼は一篇の詩を書いて、頬をほてらしながら荘一清に見せました。それは、友情と恋情との間の微妙な一線上にある惜別の感情で、「……沈黙は、愛情を尊敬するからだ。」と結んでありました。
彼女が去ってゆく前の日曜日の午後、三人は、広い庭園をゆっくり逍遙する時間を見出しました。その時、荘一清が汪紹生の詩をふいに披露しましたので、汪紹生も柳秋雲もへんに沈黙がちになりました。それで、荘一清が一人で何かと饒舌らねばならぬ立場に置かれましたが、池の中間の小亭にさしかかりました時、その小亭の両の柱に、「北冥之鯤。」「南冥之鵬。」という句が懸っているのを指して、彼はいいました。
「昔の人は面白いことを考えたものだ。北冥の鯤だの、南冥の鵬だの、そんな伝説を僕は固より信用しはしないが、その精神には信頼すべきものがある。長城を築いたのも、大運河を掘ったのも、その精神の仕業だ。吾々は長城や大運河を軽蔑してもよろしいが、その精神を笑う権利は持たない。」
それに対して、柳秋雲が静かにいいました。