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しろばなのあさがお

白花の朝顔

泉 鏡花

線上閱讀泉 鏡花《白花の朝顔(しろばなのあさがお)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 30,880 字 · 62 頁

青空文庫

が、きっぱりと目の覚めた処で、お手ずから、朝茶を下さる。

(姉さんは、娘はんですか、此楼の……)

いやな野郎で、聞覚えの京言葉を、茶の子でなしに噛りましたが、娘か、と思ったほど、人がらが勝っている。……

通力自在、膳も盃洗もすぐ出る処へ、路之助が、きちんと着換えて入って来て、鍋のものも、名物の生湯葉沢山に、例の水菜、はんぺんのあっさりした水煮で、人まぜもせず、お絹が――お酌。

(ずッと見物をおしやしたか。)

宇治は、嵯峨は。――いや、いや、南禅寺から将軍塚を山づたいに、児ヶ淵を抜けて、音羽山清水へ、お参りをしたばかりだ、というと、まるで、御詠歌はんどすな、ほ、ほ、ほ、と笑う。

路之助が、

(その癖、お絹さん、お前さんの好きそうな処ばかりだぜ。……境さん――この人は、まだ休んでいて隙ですから、そこいら、御案内をしようというのですが、どうかすると、神社仏閣、同行二人の形になりかねませんよ。)

(巡礼結構。同行二人なら野宿でもかまいません。)

(ほ、ほ、ほ、よういわんわ。)

御免下さい。……だから言わないことではない。もうこの辺の、語義の活法が覚束ない。

が、串戯ではありません、容色、風采この人に向って、つい(巡礼結構)といった下に、思わず胸のせまることがあったのです。