輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
しんじゅふじん
真珠夫人
菊池 寛
線上閱讀菊池 寛《真珠夫人(しんじゅふじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 289,296 字 · 578 頁
いつもは、父に対して、冷然たる反抗を示す兄だったが、今日は心の底から、憤っているらしかった。憤怒の色が、アリ/\とその秀でた眉のあたりに動いていた。
「考えて見るがいゝ。堂々たる男子が、画筆などを弄んでいて何うするのだ。」父は、今迄張り詰めていた姿勢を、少しく崩しながら、苦い物をでも吐き出すように云った。
「考えて、見る迄もありません。男子として、立派な仕事です。」兄の答えも冷たく鋭かった。
「馬鹿を云え! 馬鹿を!」父は、又カッとなってしまった。「画などと云うものは、男子が一生を捧げてやる仕事では決してないのだ。云わば余戯なのだ。なぐさみなのだ。お前が唐沢の家の嗣子でなければ、どんな事でも好き勝手にするがいゝ。が、俺の子であり、唐沢の家の嗣子である以上、お前の好き勝手にはならないのだ。唐沢の家には、画描きなどは出したくないのだ。俺の子は、画描きなどにはなって貰いたくないのだ!」
父は、そう叫びながら、手近にある卓の端を力委せに二三度打った。瑠璃子には、父が貴族院の演壇で獅子吼する有様が、何処となく偲ばれた。が、相手が現在の子であることが、父の姿を可なり淋しいものにした。