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すずりとすみ
硯と墨
中谷 宇吉郎
線上閱讀中谷 宇吉郎《硯と墨(すずりとすみ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 10,996 字 · 22 頁
東洋の書画における墨は、文房四宝の中でも特別な地位を占めていて、古来文人墨客という言葉があるくらいである。従って墨に関する文献は、支那には随分沢山あるらしく、また日本にも相当あるようである。しかしそのうちには、科学的な研究というものは殆んど無い。或いは絶無と言っていいかもしれない。それは東洋には、昔は科学が無かったのであるから致し方のないことである。
墨と硯の科学的研究は、私の知っている限りでは、寺田寅彦先生の研究があるだけのようである。飯島茂氏の『硯墨新語』なども墨の科学的研究と言われているが、この方は方向は一部科学的研究に向いており、面白いところもあるが、まず文献的の研究というべきであろう。
寺田先生は晩年に理化学研究所で、墨と硯の物理的研究に着手され、墨を炭素の膠質と見る立場から実験を進め、最後の病床に就かれるまで続けておられた。研究の内容は三部から成っている。第一は墨流しの研究であって、これは我が国に古来からある墨流しを、物理的に研究されたものである。第二は墨と硯の物理的研究であって、硯の性質と、特に墨を磨るという現象が物理的に言って何を意味するか、その機構を研究されたものである。