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すずりとすみ

硯と墨

中谷 宇吉郎

線上閱讀中谷 宇吉郎《硯と墨(すずりとすみ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 10,996 字 · 22 頁

青空文庫

この現象は墨の粒子が負の電気を持っていることから説明が出来る。

こういう沢山の実験をした結果、墨を磨るという現象の機構がほぼわかって来た。硯の面上を墨が動いた延べの距離と、墨のおりた量と、墨の磨り口の面積とがわかっているので、墨が硯の上を一センチ動いた時に、一平方センチから溶け出る墨の量を計算することが出来る。それがわかると、墨の比重は知れているので、墨が一センチ動いた時に磨り減る層の厚さが計算出来る。それを出してみると、一万分の一・二ミリという数字が出る。ところがこの値は、その時の粒子の平均直径一万分の一ミリと非常に近い値である。即ち墨が硯の上を一センチ動くと、約一万分の一ミリだけ削りとられ、その時墨はその削りとられた厚さと同程度の直径の粒子となって溶け出るということがわかる。

もしそういうことならば、これは墨の磨り口に出来る罅の問題と考えられる。硯の面には細かい不規則な小突起が沢山あって、いわゆる鋒鋩をなしている。その小突起の上を墨が動く時、磨り口の表面に顕微鏡でも見えぬくらいの細かい罅が沢山はいる。これ等の罅は墨の動くにつれてだんだん沢山出来て、一センチほど動くうちに、罅の深さと同程度の間隔になるくらい、磨り口の表面いっぱいに出来る。