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はしがき
童話集 春
竹久 夢二
線上閱讀竹久 夢二《童話集 春(はしがき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 43,531 字 · 97 頁
春太郎は、お姉様につれられて、キネマ館へゆきました。二階の正面に坐って、ベルの鳴るのを待っていました。
しばらくすると、ベルが鳴って、ちかちかちかちかと、フィルムの廻る音がしだしたかとおもうと、ぱっと、ジャッキイの姿が、眼のまえにあらわれました。ぱちぱちぱちと、春太郎も思わず手をたたきました。
「ここに、カリフォルニアの片田舎に、ひとりの少年がありました。その名を……」
と弁士がへんな声を出して、説明をはじめました。春太郎は、弁士の説明なんかどうでもいいのでした。ただ、ジャッキイが出てきて、笑ったり、泣いたり、歩いたり、坐ったりすれば、それだけで十分いいのでした。ジャッキイが泣くときには、春太郎も悲しくなるし、笑うときには、やはりうれしくなって笑いだすのでした。
ジャッキイのお母様が死んでから、ジャッキイは、育てられたお祖父さんお祖母さんに別れて、お母様の形見のヴァイオリンを、たった一つ持ったままで、街へ出てゆきました。
ちょうど、これはクリスマスの晩のことで、立派な家の窓から暖かそうな明りがさして、部屋のまん中には、大きなクリスマス・ツリーが立っていていい着物をきた子供たちは、部屋の中を飛廻っていました。