輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

かがりびのおんな

篝火の女

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《篝火の女(かがりびのおんな)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 27,727 字 · 56 頁

青空文庫

憎炎愛炎

陣屋の裏から荒駒が狂いだして、まだ夜のふかい河原で嘶いた。

憎炎愛炎

松井田城の山絵図をひろげて、相木熊楠は秘策を描いた。そして、肚はきまった。

鉄砲組、槍、弓、長太刀、それぞれの部将をあつめて、

『城を抜くか、斬り死にするか、この二つを、夜明けまでに決めるのだ。相木熊楠もきょうかぎりの一命と思うてかかる。――祖先以来の君家の御恩に酬うはきょうを措いてない。よいか』

云いふくめて、手配を授けた。

それが終るとすぐ、

『八雲を曳き出せ』

と十介に云った。十介は疑って、

『えっ、今ですか?』

『そうだ』

熊楠の肚がわからなかった。何で、一刻を争っているこの総がかりの間際になど曳き出せというのであろうかと。

『連れて来ました』

十介の声に、又、山絵図を繰ひろげて後ろ向になっていた相木熊楠は、ふり顧って、

『うむ……』と、ふとく呻いた。

八雲は、二人の武士に、左右の手をうしろへ捻り気味に取られて、烈々と燃える篝火の前にひきすえられているのである。窶れてこそいるが――素服こそ纒っているが、この二十日余りを、仮屋の牢獄に投げこまれたまま陽の目も見ずにいたので、頬の紅はやや青白く褪めているが――生れながらの美質はすこしも変らない。