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せいアレキセイじいんのさんげき

聖アレキセイ寺院の惨劇

小栗 虫太郎

線上閱讀小栗 虫太郎《聖アレキセイ寺院の惨劇(せいアレキセイじいんのさんげき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 32,638 字 · 65 頁

青空文庫

それに、こんな低温の中でまだ体温が残っているし、硬直が始まり掛けたところだからね。絶命はたぶん四時前後だろうが、その一時間後に鐘が鳴っているんだ。」と云ってからルキーンに、「君、開閉器はどこだね?」と訊ねた。

「いや、鐘楼には電燈の設備がないのです。それから、姉妹には別条ないようですが。」

「それが、起きているのだから妙なんだよ。」検事が口を挾んだ。「鳴子の音を聞いても返事しなかったのは、事によると、姉妹はこの事件のことを知っていて、僕等に妙な感違いをしたのかもしれないがね。」

「何にしても、それは大したことじゃない。しかし電燈がないと、明け切るまで待たなくてはならんな。」法水は悠長な言葉を吐いたが、さっそく検事に手配を依頼して、その最後に、警察医と本庁の課員以外は構内に入らせぬようにして欲しい――と云う旨を付け加えた。

それから三十分後に、検事が警察医を伴って上ってくるまでは、暗黒の中で屍体を挾んだ二人の無言の行であった。ただルキーンが、

「やっぱりワシレンコだな。あいつも可哀そうに。」とかすかに呟くのを聴いたのみで、それを法水が問い返そうとした時、階段を上る跫音が聞えたのであった。