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せいアレキセイじいんのさんげき
聖アレキセイ寺院の惨劇
小栗 虫太郎
線上閱讀小栗 虫太郎《聖アレキセイ寺院の惨劇(せいアレキセイじいんのさんげき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 32,638 字 · 65 頁
」
そこで、法水の質問はいよいよ本題に転じて行った。
「ところで、鐘の音をお聴きになったでしょうな。」
「ところが、それ以前に気味の悪いできごとがございまして。四時半頃眼が醒めると、階段の壁燈が点っているのです。父は御存知の通りなので、ルキーンが戻ったかなとも思いましたが、来れば鳴子が鳴るはずです。しかし、大して気にも留めずにいたところが、間もなくこの室の扉の前辺から離れて、コトリコトリと遠ざかって行く跫音が、鐘楼に起りました。」
「それには、何か特徴がありましたか?」
「それが、通例の歩き方で二歩のところが一歩と云う具合で、非常に一足ごとの間が遠いのです。何か考えながら歩いているようでした。」
「すると、妙なことになりそうですね。」そう云って法水は黙考に沈んだ。が、やがて顔を上げた時には、顔色が死人さながらに蒼ざめていた。「確かあなたは、お父さんの亡霊が歩いていたと云われるのでしょう。ですが、その一時間も前に、絶命が医学的に証明されているのですよ。」
まさに、心臓が一時に凝縮したと云う感じだった。それより、一体どこに推定の根拠があるのか?――法水の意外な言葉に、周囲の人々はいっせいに驚かされた。