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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
線上閱讀火野 葦平《花と龍(はなとりゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 頁
なんて、呼ぶようになったんじゃ。でも、江崎との喧嘩のときには、今のように、肥えては居らんで、すばしこかったよ。両軍入りみだれての乱闘のまん中で、味方に、弾丸を配ってまわったりしてな……」
それから、なお、勇壮で、けたたましい喧嘩の説明が、ながながと、つづいた。吉田磯吉の表情は、ほとんど、恍惚としていた。
金五郎が、はじめて、口を挟んだ。
「吉田親分さんに、お訊ねいたします」
「なんじゃ?」
「さっきから、お話をうかがって居りますのに、親分さんが一向にあらわれませんが、そのとき、あなたは、どうして居られました?」
「おれか。おれは喧嘩場には、行かん。家に、居った」
それをきいた金五郎の眼に、失望と、軽侮のいろが、同時に浮かんだ。
吉田磯吉は、そんな、青二才の反応などには、全然、無頓着で、
「明治町辺から、本町三丁目筋にかけて、篠つく大雷鳴のなかを、文字どおり、血の雨が降ったわけでな、なんちかんち、その荒けないことというたら、この友田の愛用の白鞘の一刀なんど、鋸の歯のようになっとった。おまけに、飴ン棒みたよに曲ってしもうたもんじゃけ、敵の刀をぶんどって、戦う始末よ。