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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

線上閱讀火野 葦平《花と龍(はなとりゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 頁

青空文庫

新婚家庭は、荒廃のかぎりをつくしていた。

新鮮なのは、金五郎とマンの心だけである。

「とうとう、一緒になったなあ」

「ウフフ……」

顔見あわせて、奇妙な含み笑いをしあう二人の心は、この結合の宿命を、おたがいの胸で、しっかりと、うなずきあっているようであった。

森新之助のいったように、

「あんただち二人は、生まれん前から、夫婦になることが、定まっとったんじゃよ」

金五郎も、マンも、そんな気持がしていた。

男は四国の田舎を出発した。女は広島の山奥を出発した。どちらも、みずからの意志によって、飛びだして来たのではあるけれども、逆にいえば、追放されたに似ていた。そういう二人の邂逅は、単なる偶然ではないような気がする。一点から伸ばされた二本の太い綱で、ぐいぐいと、二人、同じところへ引きよせられたような、運命的な気持が、金五郎の胸も、マンの心も、領していた。

もとより、二人とも、この小さな島で、仲仕生活をしながら、一生を終る気持は毛頭なかった。寝物語は壮大である。

「わたしは、ゆくゆくは、支那大陸に渡って、一旗あげるつもりじゃ」

金五郎が、そういえば、

「あたしは、ブラジルに行って、大農場を経営したいわ」