輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

線上閱讀火野 葦平《花と龍(はなとりゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 頁

青空文庫

起きあがろうとするのに、飛びかかってねじ伏せた。暴風雨はなおはげしく、二人の転んだところは水のたまった泥沼だ。まるで、二人ともドブ鼠である。格闘しているうえを電光が照らす。

角助は、金五郎を殺したと思っている。源十は、オヤジを殺されたと思っている。どちらも必死だった。しかし、どちらも武器がない。ただ、組んずはつれつしながら、叩きあいをしているばかりだ。

ところが、数分の後に、角助は、源十の打擲の下に、急におとなしくなった。「六ゾロの源」はもう無我夢中である。狂気に近かった。金五郎を慕う心が、この誠実で一本気の男を逆上させたのである。いつか、赤煉瓦のかけらが、右手に堅く握りしめられていた。異様な呻きに似た声を発しながら、それを力まかせに、角助の頭に打ちおろしていた。角助が動かなくなっても、頭蓋骨を砕く力を抜こうとしなかった。源十はここに一個の機械と化したごとくである。

そして、おかしなことに、痴呆のごとくなった源十の口をついて、

「おマンさん、おマンさん、……おマンさん、……」

その言葉が、これも蓄音機のように、単調に、間断なく、吐きだされているのだった。