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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

線上閱讀火野 葦平《花と龍(はなとりゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 頁

青空文庫

まだ一度も話したことはなかったけれども、心の中では、もっとも信ずるに足る人、すでに、同志としての強い結合さえ感じていたのである。それだけに、怒りも大きかった。

(この若松は、なんという野蛮な暴力の街だろう)

しかし、安五郎は、それを恐れる心よりも、その理不尽を除去しなくてはならぬ、という強い情熱と勇気とを、若々しい胸にたぎらせているのであった。

「一目だけで、結構なのですが、……」

病院の玄関で、懇請したけれども許されなかった。

「どなたの面会も、お断わりして居りますから」

「それでは、これを……」

やむなく、見舞品を置いて、虚しく帰らなければならなかった。力のない足どりで、街の方へ引き返しながら、

(どうぞ、死なないで下さい)

と、心の底から祈った。

マンは、帰った次の日の朝から、三社詣りを欠かさなかった。氏神の白山神社、蛭子神社、金比羅神社の三社へ、早朝、日参をして、「お百度」を踏んだ。

まだ真暗な、深夜といってよい午前三時から起きて、まず、白山神社に出かける。百段ある高い石段を登る。鬱蒼たる森林が風にざわめき、高い杉のうえで、フクロウが鳴く。キョーン、と鋭い狐の声が聞えるときもある。